壁に対する出っ張りが綺麗かを気にする

住戸の部屋と部屋を仕切る壁に取り付くものとして、建具の枠や巾木などがあって、それらは壁から少しずつ出っ張ってくる、という話を前回は紹介しました。
建物の見た目や使い勝手、そしてデザインを考える意匠設計者という仕事があって、私もそんな仕事をしているのですが…

意匠設計者はこの「チリ」をあまり好まない傾向にあります。

出来るだけチリを小さくしたいとか、もっと言うとチリをゼロにしたいなどの要望を施工する側に要望したりします。
しかし実際には施工精度があるので、壁面と建具枠を同じ面にしようとするのは上手くいきません。

工場で製作してくる既製品である建具枠はほぼ間違いない寸法で搬入されます。
その一方で壁は現場で木下地を立てて、そこに石膏ボードを貼っていくといういわば「手作り」になるので、そこまでの精度が出ないんです。

木下地と石膏ボードの間は図面上完全に0mmですけど、現実問題として完全に0mmというのは難しく、微妙に壁は厚くなる方向になってしまいます。
また、建具枠の方でも、精度はほぼ完璧ではありますが、取り付けは現場でやるものですから、壁に対しての出寸法を完璧に現場で合わせるのは至難の業です。

そうなると、なんとなく壁の方が出っ張って見えるなどの残念な状況になったりします。
そもそもの話として、建具のチリがある状態が美しくなくて、建具枠が壁に対して出っ張っていない状態が美しい、という訳でもないと思いますが…

壁に対する出っ張りが綺麗かを気にする

建物の見た目について考える仕事をしている方は、こうした細かい部分まで色々と考えて、どれがベストなのかを悩んでいたりします。
それがあまり建築業界の方以外は気にしない部分であっても。

さて、少し話が逸れてしまいましたが、今回は壁と関係のある器具、例えば洗面化粧台と壁との関係について少し考えてみたいと思います。
洗面化粧台というのはやはり工場で製作して現場に搬入するものですから、製品のサイズというのはもう決まっています。

900巾・1200巾などある程度寸法を刻みながら、決められた巾の商品が用意されていて、そのサイズに合うプランを計画することになります。
ただ、例えば1200巾の洗面化粧台があったとして、洗面化粧台を配置するスペースとして、壁の内側は1200mmぴったりで良いかというと、やっぱりある程度の隙間が必要になります。

洗面化粧台の両側が壁になっている場合は、両側10mmずつの隙間はやっぱり必要なんです。
これは施工の順番にも関係しています。
洗面化粧台の設置は、壁下地を立てて石膏ボードを貼って、なおかつ建具枠を取り付けた後になる場合が多いです。

そうなると、巾1200mmのスペースに巾1200mmの製品を設置出来るか、というちょっと無理っぽい話になってしまいます。
これは考えるまでもない話で、施工精度によって壁が少し出っ張っていたりするので、隙間0mmで既製品を入れていくのは不可能なんです。

なので、先に施工する壁を立てる際には、石膏ボードの内側で1220mm程度になるように計画をしておくやり方が無難です。
施工精度によって少し狭くなって1218mm程度の場所に、1200巾の洗面化粧台を入れるのは、両側に9mmの隙間があるので問題ありません。

そして洗面化粧台を設置した後で壁を仕上げ、壁と洗面化粧台との間はシーリング処理をしていく。
これが一般的な納まりになります。
病院建築などでは、隙間は隙間のままとしてシーリング処理はしない、という考え方もあるので一概には言えないところもありますが…

自宅であればそこまで衛生面に気を遣う必要もないと思うので、シーリングで納めてしまって良いのではないかと思います。