壁と巾木と建具枠の関係

一般的な壁の厚みに対して、ドアや収納扉などの建具がどのように納まってくるか、という話を前回は紹介しました。
壁の厚みに対して建具は両側+10mm程度大きくなり、その10mmを「チリ」と呼びます。

チリには施工精度を吸収する役割があって、例えばあまり精度が良くない状態で壁の厚みが+2mm程度になったとしても、チリが少し少なくなるだけで済みます。
木下地45mmに対して12.5mmの石膏ボードを両側に貼る納まりであれば、いくら施工精度があるとは言ってもそこまで狂うことはないですが…

例えば石膏ボードを2枚貼る必要がある壁であれば、石膏ボードと石膏ボードの間は完全に0mmという訳にはいかず、少し壁が厚くなる方向になってしまいます。
石膏ボード12.5mmを2枚貼ると計算上は25mmになる訳ですけど、石膏ボード同士の隙間が0.5mmとか1mmとかになると、その分だけ壁は厚くなる訳です。

これが施工精度です。

このあたりのズレは現場で施工をしていく中で当然発生するもので、それをゼロにする努力というのはあまり意味がないというか、効果がないことです。
そうではなく、施工精度はある程度出るのは仕方がないという考え方で、その施工精度をある程度想定した納まりにしておくことが大事です。

建具のチリというのはそう言った意味を持っています。
また、今回紹介する「巾木」の納まりを考えても、建具にはチリが付いていた方が納まりが良いということが分かってきます。

ということで巾木についての基本的は納まりを紹介すると、巾木というのは壁と床が交差する部分に取り付けられる部材です。
巾木が存在する理由は以下のような目的があるためです。

・床の端部処理を隠すため

・壁の最下部の処理を隠すため

・床掃除をする際に壁を汚さないように

こうした目的があって巾木は存在しています。
巾木の材料は木だったり塩ビだったりと幾つかのバリエーションがありますが、端部の処理を隠すことと壁の保護という目的は変わりません。

基本的に巾木は壁に対して貼っていく納まりになるので、壁仕上げ面よりも少し出た位置が巾木の面ということになります。
厚みは木製なのか塩ビ製なのかによって違いますが、壁からは出っ張った位置に巾木がくることに違いはありません。

巾木は基本的に全ての壁に取り付くことになる訳ですけど、ドアがある部分は当然壁がないので巾木もそこは通らないことになります。
つまり巾木は建具枠にぶつかって終わる納まりになる、ということです。
分かりやすくアイソメで表現するとこんな感じに納まることに。

壁と巾木と建具枠の関係

建具枠は壁に対して10mm程度のチリを設けるのが一般的な納まりになりますが、巾木はそのチリの中で枠にぶつかって納まります。
建具枠にチリがあるのは、壁から少し出っ張った位置にくる巾木を納めるという目的もあるんです。

普段生活していく中で特に気にしない巾木の存在ですけど、この巾木が存在しない壁があったとしたら、きっと壁の足元は結構汚れてしまっていると思います。
床に掃除機をかける場合、どんなに気を付けていても掃除機が壁にぶつかってしまうはずで、それを繰り返していくと少しずつ壁は汚れてきてしまいます。

壁には白系のクロスが採用されることが多いので、その汚れもかなり目立ってしまうことに。
そうなると見苦しいので、壁の汚れが目立たないように巾木が役に立っている訳です。
巾木の色を壁に合わせるか、あるいは床に合わせるのかは設計者でも好みが分かれるところですが、壁の汚れを目立たせないという意味では、少し濃いめの色が良いのではないかと思います。